Roland JC-120のセンド&リターンを活用してみる【実験・レビュー】

こんにちは!スタッフの満田です!
今回はギターギターアンプに関するちょっと突っ込んだお話になります!お題はタイトルにあります通りセンド&リターン!「あるのは知ってたけど具体的にどう使えば良いのかイマイチ分からなくて……。」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?センド&リターンの活用頻度が比較的高いRoland JC-120を使ってサウンドメイクの検証を致しましたので是非ご覧ください!

センド&リターン機能についての解説

センド&リターンと呼ばれることが多いですが、厳密にはセンドジャックとリターンジャックの2つをまとめた呼称になります。それぞれの機能を簡単に説明致しますと、「センド」はプリアンプで作った音を外へアウトプットする役割を持ち、「リターン」は外からパワーアンプへインプットする役割を持っています。Roland JC-120の場合のアンプ全体としての組み立ては以下のようになります。

プリアンプ → (センド) → (リターン) → エフェクト → パワーアンプ → スピーカー

※プリアンプ:Vol, EQ, Distortion
※エフェクト:Reverb, Vib, (Speed, Depth), Chorus

つまりプリアンプ及びリターン端子からの入力音声にリバーブを含めたエフェクトを乗せた後に、パワーアンプで増幅された音声がスピーカーへと出力される構造になっている訳ですね。
さて、やや複雑ですが、ここまでを踏まえてどういった使い方ができるでしょうか。

センド&リターンの使い方

まずはこちらの動画をご覧ください!

センド&リターンの主な活用方法は以下の2つ。

  1. プリアンプで作った音の後にエフェクターでエフェクトを追加する
    • 接続:ギター → アンプ → センド → エフェクター → リターン
  2. 外部機材で作った音をアンプのパワーアンプへ直接インプットする
    • 接続:ギター → エフェクター or 外部プリアンプ → リターン

詳しく解説していきましょう!
まず1つめの「プリアンプで作った音の後にエフェクターでエフェクトを追加する」ということについて。通常、エフェクターを使う場合はギター → エフェクター → アンプ(プリアンプ → パワーアンプ)という接続順になると思います。ですがセンドとリターンを使うことでギター → プリアンプ → エフェクター → パワーアンプという回路を形成できる訳なんですね。即ち従来はエフェクターの音がアンプで補正されていたところが逆転して、アンプの音がエフェクターで補正されるようになるということです。この恩恵を強く受けられるのはアンプの歪みサウンドを使い、且つモジュレーション系やフィルター系、空間系のエフェクターを使う場面!通常の接続方法で上記タイプのエフェクターを使用してアンプを歪ませてしまうと、揺らぎや残響のエフェクトにまで歪ませてしまい、非常に使い辛い音になってしまいます。しかしアンプで作った音をセンドからアウトプットし、エフェクターを経由してリターンでパワーアンプへと送ることで無事に歪みサウンドにそれらのエフェクトを乗せられるのです!
そして2つめの「外部機材で作った音をアンプのパワーアンプへ直接インプットする」ということについて。主にアンプシミュレーターやプリアンプペダルなどで作った音を直接パワーアンプへ入力することで、アンプ本体のプリアンプによる音色の補正を避け、アンプシミュレーター或いは外部プリアンプが持つ音色を最大限引き出す使い方です。通常通りアンプのインプットから接続すると、折角自前のプリアンプで作った音色もアンプ本体のプリアンプによる補正が掛かり、結局はアンプの特色が強くなってしまいます。しかし、アンプ側のプリアンプ後段に位置するリターンから別のプリアンプを直接インプットすることで、音色の補正箇所を通らずにパワーアンプへと繋がり、よりストレートなサウンドメイクが可能となるのです。お気に入りのアンプシミュレーターやプリアンプを持っている方には是非試して頂きたい方法です!近年は非常に優秀なモデリング系の機材が多いので、リターン接続前提のボードシステムを組む方も増えていますね。また、BOSS Metal Zoneを始めとしたハイゲインなディストーションペダルをプリアンプ代わりに接続してハイゲインアンプ化する使い方も人気があるようです。また、エレキギター向けに作られている以上音色に限度はございますが、プリアンプ内蔵のエレアコ・エレガット等の楽器をリターンに直接接続する使い方も悪くはなさそうですね。

※プリアンプ類を経由せず直接ギターをリターンにインプットすることも勿論可能ではございますが、音量や音色の補正が掛からず細かな調整が効かないためオススメはできません。是非お気に入りのプリアンプやシミュレーターとセットで使ってください!

実際に弾いてみて

まずはセンド&リターン接続について。アンプで歪みサウンドを作ってその後にコーラスのエフェクターを掛けてみました。JC-120本体でも意外と良い歪みが作れますよね。個人的には結構好きです。この歪みを活かしつつ、お気に入りの空間系及びモジュレーション系エフェクターを使う場合はセンド&リターン接続は有効ですね。
次にリターン接続のパターンについて。今回はZOOM MS50GでFender系のクリーンサウンドを作ってリターンからパワーアンプへと送ってみました。サウンドの質に関しては、好みの音になるように調整したから当然と言えば当然ではあるのですが、JC-120のプリアンプを使うよりも正直好きですね。余計な低音及び高音をカットできているので非常に使いやすかったです。但し、実際に試してみて感じた難点もひとつ……。それはボリューム問題ですね。クリーンサウンドを作ろうと思うとマルチエフェクターのアンプモデリングでは限界があるように思えました。今回のセッティングではアンプモデリングのボリュームは全開の150で、更にクリーンブースターもボリューム150でかけていますが、バンドアンサンブルではそれでも音量が不足しそうな不安を感じました。
また、イコライザーペダルをセンド&リターンで接続するとアンプのサウンドメイクも楽になるだろうな、と思いました。これは近いうちに試して結果をシェアしたいと思います!乞うご期待!

リターン接続はZOOM MS50Gが手軽でオススメ!

今回も使用したマルチエフェクターのZOOM MS50G!手軽さとサウンドのクオリティを考えると非常にオススメです!

複数のアンプモデリングは勿論、様々な空間系エフェクターも内蔵しており、それぞれ非常に素晴らしいサウンドです!気軽に持ち運べるプリアンプのように使えるのでギターケースに1台忍ばせておくと心強いアイテム!

総括

今回はギターアンプのセンド&リターンのお話でした!
ポイントをまとめると……

  • センド&リターンはプリアンプとパワーアンプの中間にある!
  • アンプで作った音にエフェクトを乗せられる!
  • リターン直挿しで自前のプリアンプやアンプモデリングを最大限活かせる!

です!
接続は非常に簡単なので皆様も音作りの新しい可能性を求めて是非お試しください!

最後までご覧頂きありがとうございました!

パプリカミュージックスタジオ 満田